政府とニューエコノミー

民間だけでなく、政府もITの発展に重要な役割を果たしてきました。第二次世界大戦中の政府の要求は結果的にパソコンやインターネットを実現する技術を生み出す研究を促進したといえます。基礎研究に対する政府の資金援助は、新たなアイデアを生み出したり、民間に知識を普及させる活動を支援する上で重要な役割を果たしてきています。これらのアイデアを基礎にして新技術や新しい生産方法、そしてさらに新しい生産物が生まれたのです。
また、国勢調査局による初代UNIVACの購入や、国防総省による衛星通信施設の購入からもわかるように、政府は新技術の重要な顧客でもあります。そして、政府は健全な競争を確保するために市場における企業の活動を規制したり、独占を阻止する努力をしてきました。アメリカ司法省および19の州が、マイクロソフトがパソコンのOSで独占的な生産者として権力を乱用しているとして訴訟に持ち込んだという話は有名です。1999年には連邦判事が「マイクロソフト社はOS市場に置ける独占的な力を利用して技術革新を妨げた」という判決を下しました。
マイクロソフト側は「そうした支配的な地位は常に新しい技術によって脅かされている」と主張しました。ここでいう新しい技術とはインターネットのことです。急速に変化するハイテク産業において公正な競争を保証するために政府がどうすべきかという問題については、さまざまな議論が交わされています。